アーカイブ: 2010年12月

2011年 世界で一番早い「新年」、「初日の出」の場所

2010年12月29日

2012年 世界で一番早い「新年」、「初日の出」の場所」はこちら

今年も残り少なくなってしまいました。新年を迎えるにあたり、世界で一番早く新年を迎える場所と、初日の出が一番早く見られる場所を調べて見ました。

世界で一番早く新年を迎える場所については、日付変更線の西側にある太平洋の国や地域を調べると以下のようになりました。キリバスのライン諸島はもともとは日付変更線の東側にあった地域ですが、一つの国の中に日付変更線があるのは不便だということで1995年に日付変更線を東にづらしたため世界で最も早く日が変わる場所になりました。また、チャタム諸島が2位になりましたが、それはニュージーランドがサマータイムを実施しているためで、チャタム諸島とほぼ同じ経度にあるトンガやキリバスのフェニックス諸島よりも早く新年を迎えることになります。

逆に、新年を迎えるのが最も遅い地域は、以下のようになります。ベーカー島とハウランド島は無人島なので、人が居住している地域ではアメリカ領サモアとニウエが最も新年を迎えるのが遅い地域になります。なお、サモアは、アメリカ領サモアより西にありますがサマータイムを実施しているため1時間早く新年を迎えることになります。

初日の出が早く見られる場所は、このホームページに登録している場所では、ニュージーランドのチャタム島が日本時間の1時7分で最も早い場所となりました。この時期は南東に行くほど日の出が早くなります。日本でも、東にある北海道の納沙布岬より、千葉県の犬吠埼が初日の出の時刻が早くなります(参考国立天文台)。

チャタム島には人が居住しており、ライン諸島にはキリスィマスィ島より南東には島がありますがすべて無人島のようなので、人が居住している場所ではチャタム島が最も早く初日の出が見られる場所だといえます。無人島も含めるとキリバスのライン諸島のミレニアム島(カロリン島)が0時44分で世界でもっとも早い場所になります(参考国立天文台)。

逆に最も初日の出が遅いのは、米国海洋大気庁地球システム研究所のウェブページ(http://www.esrl.noaa.gov/gmd/grad/solcalc/)で調べると、アラスカのアメリカ大陸の西端であるスワード半島で日本時間の2日の6時32分です。位置的は日付変更線の東側で最も西にあるアリューシャン列島のアッツ島は5時42分でそれよりも遅くなっています。ところで、スワード半島より北に行くとこの時期は極夜なので、初日の出を見るのが最も遅いのは、人が定住する地として最も北にあるスヴァールバル諸島で暮らす人々ともいえるかもしれません。

METAR と TAF へのリンクについて

2010年12月23日

ヨーロッパの北部では、依然として厳しい寒波が続いています。そのため、交通機関に影響がでており、パリのシャルル・ドゴール空港でも23日も大雪のため欠航を余儀なくされる航空便が出ているようです。そのためか、空港の天気(METAR, TAF)へのアクセスが増加しています。METAR と TAF は航空機用のための情報なので、少しわかりにくい点はありますが、短期間の予報の正確さという点では普通の天気予報より精度が高いように思います。そういうことなので、世界時計の主要な都市では、METAR と TAF を表示するページへのリンクをつけてみました。

冬の最低気温ランキングのページを作成しました

2010年12月18日

今週はようやく冬らしい寒さになりました。そこで、2010-2011年冬の最低気温ランキングを公開することにしました。2010年猛暑ランキングに続き活用していただければと思っています。

ところで、気象庁のホームページを見ていると、平成22年12月16日付けで 気候サービスのための世界的枠組みに関するハイレベルタスクフォース ~ 第5回会合(最終会合)について ~という報道資料が公開されていることに気がつきました。このタスクフォースは、「第3回世界気候会議(WCC-3)」で、気候サービスの提供者と利用者間の連携強化を通じて、利用者が意思決定に活用しやすい気候情報の提供を推進する「気候サービスのための世界的枠組み」を構築することが決定されたことにより設置されたもので、日本からは宇宙航空研究開発機構の向井千秋さんが参加しています。(WMOのタスクフォースのページ

第5回の会合では、最終報告書についての概ねの合意が得られたということで、報告書構成については、「報告書は3つの部で構成。第1部は提供される気候サービスの現状、第2部は利用者が求める気候サービスと現実とのギャップを提示。これらを受けて、第3部においてそのギャップを埋めるための「枠組み」のあり方を提示。」となっているそうです。

この記事を読んでいると、日本での気象データの提供のことを思い浮かべてしまいました。実はこのページについても、この程度のことで気象庁から目くじらを立てられることはないと思っているのですが、やはり気象データの取得にグレーな部分が残っているというのは実感していることろです。詳しくは、「effyの日記」の気象情報の著作権を見ていただきたいのですが、気象データを公式に入手しようとすると非常に高い費用が必要になります。一方で、気象庁のホームページからダウンロードしてデータを作成することはそれほど難しいことではありませんが、著作権の問題が出てきてしまいます。私のこのウェブページに関しての著作権についての見解は、観測データにはそもそも著作権というのはおかしいし、著作権があったとしても、ごく一部のデータを「引用」して公開しているだけなので問題はないと思っています。また、気象データの収集では、「自動巡回ソフト等による、定期的、自動的な気象データの収集等は、サーバーに負荷がかかる等の理由から、原則としてご遠慮いただいております。」となっているので、利用者の少ない早朝に収集してサーバーに負荷をかけないよう配慮をしているところです。

アメリカの場合は、気象データを米国海洋大気庁(NOAA)の下部組織である米国気候データセンター(National Climatic Data Center:NCDC)がNNDC Climate Data Onlineで提供しています。データにつては、有料のものもありますが、このページで利用しているデイリーのデータについては無料で入手できます。また、利用については、WMO Resolution 40(WMO決議40)に基づいて行われており、商用の利用についてはアメリカ国内で、非商用であれば世界で自由な利用を認めており、再配布も可能となっています。

一方、日本の場合は、気象統計情報のページは非常に良くできていて、その範囲で利用している限りにおいては便利なのですが、自分で資料を作成しようとするとデータによる提供がされていないのでかなり手間がかかるようになるし、このページのようにデータを公開しようとするとグレーな領域になってしまいます。このあたりは、アメリカとの国民性の違いを大いに感じてしまいます。気象条件によって利用が変動する商品の販売予測等気象データを有効に活用することができる事例でコスト面等の理由により活用できていないケースはまだまだ多いと思うので、WMOの報告書がまとまった機会に、日本でも無償で自由な利用を認める気象データの提供を実施する方向になって欲しいと思っています。