今週はようやく冬らしい寒さになりました。そこで、2010-2011年冬の最低気温ランキングを公開することにしました。2010年猛暑ランキングに続き活用していただければと思っています。
ところで、気象庁のホームページを見ていると、平成22年12月16日付けで 気候サービスのための世界的枠組みに関するハイレベルタスクフォース ~ 第5回会合(最終会合)について ~という報道資料が公開されていることに気がつきました。このタスクフォースは、「第3回世界気候会議(WCC-3)」で、気候サービスの提供者と利用者間の連携強化を通じて、利用者が意思決定に活用しやすい気候情報の提供を推進する「気候サービスのための世界的枠組み」を構築することが決定されたことにより設置されたもので、日本からは宇宙航空研究開発機構の向井千秋さんが参加しています。(WMOのタスクフォースのページ)
第5回の会合では、最終報告書についての概ねの合意が得られたということで、報告書構成については、「報告書は3つの部で構成。第1部は提供される気候サービスの現状、第2部は利用者が求める気候サービスと現実とのギャップを提示。これらを受けて、第3部においてそのギャップを埋めるための「枠組み」のあり方を提示。」となっているそうです。
この記事を読んでいると、日本での気象データの提供のことを思い浮かべてしまいました。実はこのページについても、この程度のことで気象庁から目くじらを立てられることはないと思っているのですが、やはり気象データの取得にグレーな部分が残っているというのは実感していることろです。詳しくは、「effyの日記」の気象情報の著作権を見ていただきたいのですが、気象データを公式に入手しようとすると非常に高い費用が必要になります。一方で、気象庁のホームページからダウンロードしてデータを作成することはそれほど難しいことではありませんが、著作権の問題が出てきてしまいます。私のこのウェブページに関しての著作権についての見解は、観測データにはそもそも著作権というのはおかしいし、著作権があったとしても、ごく一部のデータを「引用」して公開しているだけなので問題はないと思っています。また、気象データの収集では、「自動巡回ソフト等による、定期的、自動的な気象データの収集等は、サーバーに負荷がかかる等の理由から、原則としてご遠慮いただいております。」となっているので、利用者の少ない早朝に収集してサーバーに負荷をかけないよう配慮をしているところです。
アメリカの場合は、気象データを米国海洋大気庁(NOAA)の下部組織である米国気候データセンター(National Climatic Data Center:NCDC)がNNDC Climate Data Onlineで提供しています。データにつては、有料のものもありますが、このページで利用しているデイリーのデータについては無料で入手できます。また、利用については、WMO Resolution 40(WMO決議40)に基づいて行われており、商用の利用についてはアメリカ国内で、非商用であれば世界で自由な利用を認めており、再配布も可能となっています。
一方、日本の場合は、気象統計情報のページは非常に良くできていて、その範囲で利用している限りにおいては便利なのですが、自分で資料を作成しようとするとデータによる提供がされていないのでかなり手間がかかるようになるし、このページのようにデータを公開しようとするとグレーな領域になってしまいます。このあたりは、アメリカとの国民性の違いを大いに感じてしまいます。気象条件によって利用が変動する商品の販売予測等気象データを有効に活用することができる事例でコスト面等の理由により活用できていないケースはまだまだ多いと思うので、WMOの報告書がまとまった機会に、日本でも無償で自由な利用を認める気象データの提供を実施する方向になって欲しいと思っています。